日々徒然

2019年09月27日

弁護士 入江秀子が日々の雑感や感じたことなどを綴って参ります。

 

中高生の頃、吉川英治の宮本武蔵を愛読していた。


この作品は、中村錦之助(萬屋錦之助)が主演で映画にもなった。
粗削りで野性の剣が、修業を積むことで
論理的緻密さと理性の剣へと磨かれる過程が興味深かった。

 

 

「我 後悔せず。」


これは、武蔵が一乗寺下り松の戦いの際、
名目上の相手方である少年を殺してしまったことについて
その是非を逡巡した挙句に呟く言葉である。

 

敵は、敵討ちとして果たし合いを武蔵に申し込んだ際、
先の試合に負けた相手方の甥を名目人として立て、
その助太刀として武蔵一人に対して数十人の門人を動員し、
あろうことか銃で狙撃する準備までしていた。


武蔵は、自分が命を落とすこともあると考え、
その場合でも戦いに勝ったとするには、
まずは敵将を倒すしかないと判断した。


少年を名目人に立てたのは相手方であるから、
その責めは相手方こそが負うべき、というのである。

 

しかし、戦い後、世間からも少年の命を奪ったことを非難され、
武蔵は苦悩する。


戦いの前に、さんざん考えたことではあったのだ。
でも、あの時、他に方法は無かったのかと逡巡する。

その挙句、辿り着く言葉が


「我 後悔せず。」

 

人生において後悔しないよう熟慮して行動しよう。
熟慮して行動したのなら、事後に後悔するのはやめよう。
ということである。

 

後悔しない生き方は、なかなか難しいとも感じるが、
その姿勢は見習いたいと思う。

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