日々徒然

2019年12月05日

弁護士 入江秀子が日々の雑感や感じたことなどを綴って参ります。

 

土地を相続したけれど、遠方だったり交通の便が悪くて、自分では使用しない土地。
貸したり売却できれば良いのですが、借り手も買い手も付かない土地。
現行の法律では、所有権放棄ができないため、売却できないまま放置され、
これが、今、社会問題となっている所有者不明の土地の増加の原因の一つとなっているようです。

 

法務大臣の諮問機関である「所有者不明土地問題の対策を議論する法制審議会」の部会が
この程、中間試案をまとめ、土地の相続登記を義務付けるとともに、
所有権放棄の制度を盛り込むとの方針を示しました。

 

所有権放棄制度の乱用を防ぐため、
土地の権利関係に争いがないなど一定の要件を満たした場合に限り、
公的機関が認可するとの方法を考えているようです。


一般に、土地があると言えば財産があると思いますが、
実際に使用も収益(賃料収入など)もない土地は、実質的に財産的価値がなく、
場合によっては、固定資産税が課せられるだけのマイナスの財産となります。


更に、そこに産業廃棄物などが投棄されれば、土地の所有者として責任を負わされる危険もあります。
所有者である以上は、管理する義務も生じて来るので大変です。

 

 

以前、「夫の先祖の土地を回りまわって相続することになったが、
田舎の山の中の土地で、そこへの行き方も分からないから手放したい」
との相談があり、売却や自治体への寄付を画策したことがありました。
売却は、予想したとおり、買い手が現れず、不動産業者も望み薄との評価。
自治体も、自治体所有の土地の隣地であれば寄付を受け付けるが、
飛び地なので、管理に費用がかかるため受けられないとのこと。


所有権放棄制度が施行されれば、
このような土地の所有者も子孫に憂いを残すことがなくなるでしょう。
具体的にどのような法律になるのか、立法が楽しみです。

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