婚姻費用分担請求

離婚を進めるために別居を考えた際、相手方に金銭的収入を大きく頼っていた場合には、別居している間の「生活費」は大きな問題となります。
これについては、法律上夫婦は、たとえ別居していたとしても、お互いに生活を助け合う義務(相互扶助義務)があるので、「婚姻費用分担請求」という方法で生活費を請求することができます。

 

婚姻費用とは

婚姻費用とは、およそ夫婦が生活していくために必要な費用(衣食住の費用のほか,出産費,医療費,未成熟子の生活費,教育費,相当の交際費など)のことをいいます。

 

※未成熟子とは、成人年齢(18歳)に達しているかいないかに関係なく、経済的に自立してなく、親の扶養や補助が必要な状態の子供のことをいいます。

 

婚姻費用の請求の方法

当事者同士で話し合いが可能であれば、金額や支払い方法を合意することができます。
その場合でも、後々トラブルにならないためにも、何らかの形で文書として残しておいたり、また公正証書を作成しておくことをおすすめします。

両者間の話し合いで、金額が決められない場合は、裁判所に調停を申し立てて、話し合いを進めることができます。
その際,双方の収入,子の有無,子の年齢などを考慮して話し合いを進め、金額を決定します。
家庭裁判所では、それらを勘案した養育費・婚姻費用の算定式が用いられ、その早見表として、算定表が公表されています。
調停で決着がつかない場合は、裁判官が審判で金額を決定します。

また、調停や審判で決められた分担金額を相手方が支払わなかった場合には、給料や口座を差し押さえる「強制執行」を行うことができます

 

参考;養育費,婚姻費用の標準算定方式・算定表(令和元年版)

 

婚姻費用の注意点2点

注意点1

婚姻費用の支払始期は相手方に「請求したとき」とされていますので、別居したら、なるべく早い段階で請求を行うことをお勧めします。

 

注意点2

「権利濫用」にあたる請求は認められない場合があります。
例えば、不貞を行った者(有責配偶者)が別居を開始した場合、相手方への婚姻費用の請求は認めらない場合があります。
ただし、この場合においても、子供を連れての別居の場合には、子供に関する部分の請求については、認められます。

 

支払われる金額について

調停や審判で、婚姻費用の取り決めを行う場合には、裁判所の基準とされる「算定表」を用いて計算されることが一般的です。
しかし、諸般の事情により、この金額を基準にして、これに加算されたり減額されたりすることもあります。(具体的な家族構成などの一般的な金額はこちらで説明しています。→カラムへ)
平均的にはこの金額であるというよりは、それぞれの家庭のケースバイケースによって、婚姻費用の金額は決められるものだと考えたほうがよいでしょう。

 

弁護士に相談するメリット

裁判所の資料を紐解くと、年間2万件近い婚姻費用分担請求の調停が持たれていますが、調停だけで金額が決定される場合は全体の半数強であり、調停で金額が決まらず、審判まで行く場合も全体の2割弱程度あります。
生活費という観点からも婚姻費用はできるだけ迅速に決定したいものですが、
一般的に、調停の申立てから成立までは平均3~4カ月かかります。
審判まで合わせると婚費が決まるまでに平均6か月程度の期間を要します。

スムーズに、自身にとってより納得のいく婚費の金額を決定するためにも、法律の専門家に相談することにより、的確なアドバイスや解決策の提案を受けることができるのです。

 

参考資料

第26表 婚姻関係事件のうち認容・調停成立の内容が「婚姻継続」で婚姻費用・生活費支払の取決め有りの件数 (courts.go.jp)
第16表  婚姻関係事件数  終局区分別審理期間及び実施期日回数別  全家庭裁判所

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