日々徒然

2019年11月14日

弁護士 入江秀子が日々の雑感や感じたことなどを綴って参ります。

 

先週、婚姻費用と住宅ローンについて書いたばかりですが、
この程、最高裁が本年12月23日に新算定表を公表する予定というニュースが流れました。


新しい算定表は、ウェブサイトにも掲載されるとのことですので、直ぐに確認してみたいですね。

現在の算定表は、裁判官で構成された

「東京・大阪養育費等研究会」が平成成15年4月に「判例タイムズ」とういう法律雑誌に公表したもので、
それ以降、実務ではこの算定表の基となった算定式が使われてきました。


この算定式は、夫婦の双方の実収入額から、公租公課、職業費、住居費、教育費などを考慮して編み出されたものです。


この考え方、方式自体は合理的で支持されていますが、
算定式に当てはめる係数や数値は、平成10年~平成14年頃の統計が用いられているため、
現在の生活の実態に合っていないのではないかとの声が高くなってきていました。

 

一昨年には、弁護士の有志が、一足先に新算定表を作成して発表していました。


もっとも、今回裁判所から発表される新算定表は、先に弁護士から発表されたもの程は増額されていないと予想されていますが、
離婚後の母子の貧困の問題が指摘されている中では、喜ばしいことだと思います。

これに加え、養育費等の不払いの問題も社会の問題として捉えるべきではないでしょうか。


扶養義務を負う者がそれを果たさず、子が貧困に陥った場合には、
社会が子の救済策を講じることになるのですから(子どもを見捨てる社会はありません)、
個人の債権の取り立ての問題のみならず、社会全体の問題として、
扶養義務者の義務の履行確保を考えるべきだと思います。

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