日々徒然

2019年11月21日

弁護士 入江秀子が日々の雑感や感じたことなどを綴って参ります。

 

少し前のことですが、台湾の台北市を訪問する機会があり、臺灣臺北地方法院(台湾台北地方裁判所)を見学させて頂きました。


玄関では、日本の裁判所と同様、手荷物X線検査と金属探知機のゲートでチェックを受けました。


建物は、歴史的な風格を残していましたが、法廷内はIT化が進んでいるなどの他、いろいろと驚くことが多かったです。

 

丁度、刑事法廷が開かれていたので傍聴したのですが、
まず、被告人は、弁護人と同じ位置に座っていました。
弁護人の机の前ではなく、正に、弁護人と同様に机を前にして座っているのです。
当事者主義が徹底しているということなのでしょうか。

 

 

次に、検察官席と、被告人・弁護人席の後ろの壁に大きなスクリーンがそれぞれ設置されており、そこに、書記官の入力するパソコンの画面がプロジェクターによってリアルタイムに写し出されていくのです。


したがって、裁判官が被告人に質問した言葉、
これに対して被告人が答えた言葉が、刻一刻と入力されて表示されるため、


当事者は、自分の発言や相手方の発言が、どのように裁判記録に留められるかを直ちに確認することができます。


中国語の語学力のない私でも、漢字の表記によって、被告人の弁解の内容を理解することができました。

 

また、このパソコン画面には、予め、手続の項目が記されていて、
現在行われている手続きの部分は、黄色の帯で表示されるため、
刑事裁判で気を遣う、手続ミスを防ぐことも出来そうです。

日本の裁判手続きには無い機能だと思いました。

 

法廷の雰囲気も、開放的で活発に感じました。

 

国民性や言語の特徴によるものかも知れませんが、
法廷のドアは開放したまま裁判が進行しており、廊下から法廷を覗くことも可能。


刑事事件でも、警察官が被告人の横に座ることは無く、傍に立っているだけ。


弁護士が傍らにいても、当事者が勢いよく発言している・・・など。

 

一方、裁判官だけでなく、検察官や弁護人も法服を着ている点は伝統を重んじる気風を感じました。

日本も、旧法時代は、裁判官は紫、検察官は赤、弁護士は白の法服を着ていましたね。

 

裁判所に外に出ると、公示送達の掲示板がありました。
これは、日本の裁判所にもあります。


ところが!掲示されている内容を見てびっくりです。
刑事裁判の判決文が公示送達されているのです。

主文の内容は、罰金もあれば懲役刑もあり、無罪判決もありました。
どのような制度、趣旨に基づくものか、機会があったら調べてみたいと思いました。

 

所変われば、と申しますが、良い体験でした。

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